WiMAX 回線を導入して固定回線代わりに 2 ヶ月ほど実際に使ってみたので、導入ガイドの形で情報をまとめてみました。
目次
WiMAX 回線の用途
WiMAX 回線の用途としては、
- モバイルでの使用
- 入院中に病室で使う場合などのポータブル的使用
- 自宅の固定回線代わりの使用
などが考えられますが固定回線代わりの場合には、自宅に光ファイバ回線が入っているものの自宅内の無線 LAN 接続に問題がある場合など、光ファイバ回線とは別の回線を WiMAX で自室に直接引き込むといった使い方も有用です。
固定回線代わりの場合の事前確認
プロバイダに申し込む前に以下の 2 つの確認をお勧めします。
サービスエリアの確認
UQ のホームページの『エリア』のページで WiMAX 2+ のサービスエリアに含まれていることを確認します。
『Try WiMAX』での実機テスト
『Try WiMAX』 は WiMAX ルータが貸し出され、すべて無料で WiMAX を 15 日間試用できる UQ のサービスです。
無線回線の WiMAX の場合、サービスエリア内であっても「都内なら大丈夫」などといった一般論は成り立ちません。個々の物件の環境に大きく依存しますし、速度制限(詳細は次項)もあります。そのため UQ も費用を負担してまで『Try WiMAX』のサービスを無料で提供しています。
固定回線代わりに WiMAX を使用する場合は、プロバイダと契約する前に『Try WiMAX』で実機テストすることをお勧めします。
通信量超過時の速度制限
WiMAX の場合、マンションの光ファイバ回線のようなベストエフォート方式による速度低下はありません。
その代わりに、通信量が一定値を超えた場合に速度制限がなされます。
この制限については 2017 年 2 月からのルール変更がアナウンスされています。
時期 | 速度制限内容 |
---|---|
2017/2/1 まで | 通信量が「3 日で 3GB」を超過すると、翌日 13 時からの 24 時間、速度を約 4Mbps に制限。 |
2017/2/2 以降 | 通信量が「3 日で 10GB」を超過すると、翌日 18 時~ 26 時まで、速度を約 1Mbps に制限。 通信量にかかわらず、午前 2 時~ 18 時は一切制限なし。 |
通信量や速度制限の影響は個人差が非常に大きい部分ですが、以下のような感覚がわりと一般的と思われます。
「3 日で 3GB」超過時の速度制限(2017/2/1 まで)
Windows update で大きなファイルがダウンロードされた場合など、ちょっと通信量が多いとわりと簡単に引っかかります。でも速度制限が掛かって 4Mbps に減速してもネットの使用感はあまり変わりません(個人差あり)。筆者の環境では普段は 100Mbps 程度出ますが、4Mbps に減速してもオンラインゲームの meet-me も普通に動きますし、 FX チャートソフトの HyperSpeed も普通に使えます。速度制限の発動に気づかないこともしばしばです。
「3 日で 10GB」超過時の速度制限(2017/2/2 以降)
大抵のユーザは「3 日で 10GB」を超過しないと考えられます。もし超過しても午前 2 時~18 時は速度制限はありません。速度制限適用時の 18~26 時は 1Mbps というきつめの制限が行われるためにネットの使用感に影響が出る可能性がありますが、そもそも大抵のユーザは制限適用に至らないでしょう。
2017/2/2 以降のルール変更はおおむね制限緩和と見なせそうです。
逆に、「3 日で 10GB」をしばしば超過するのであれば、WiMAX 回線は使用せず、光ファイバ回線を使用するのが適切でしょう。
WiMAX プロバイダの選択
WiMAX を使うには本家 UQ、または UQ から仕入れた回線を小売りしているプロバイダと契約する必要があります。
UQ から仕入れた回線を小売りしているプロバイダの場合、仕入れ原価はあまり違わないと考えられるため、各社は差別化のために細かな工夫を凝らしてサービスを提供しています。
そのため WiMAX プロバイダを比較検討する際には、実質的なメリットの大小なども考慮に入れて広告内容を比較することをお勧めします。
最初の 1~3 ヶ月の月額料金割引
アピールしやすいので広告には大きく載ってますが、
・2 年縛りが基本なので 2 年間の総額にはあまり効かない。
・多かれ少なかれ各社共やっているので、結局のところ他社とあまり差が付かない。
傾向があります。
但し、特に大幅なキャンペーンをやっている場合は要チェックです。
キャッシュバック
金額が大きいこともあり、重要ポイントの一つでしょうか。
WiMAX のプロバイダはキャッシュバックに関して次のように分類できます。
キャッシュバックありのプロバイダ
・月額料金が高い。
・2 年間の支払総額からキャッシュバック分を差し引いた総額は安くなる。
・一般にキャッシュバックの申請手続きが必要。
・ミスやトラブルによりキャッシュバックを受け取り損ね、高く付いてしまうケースがまれにある模様。
キャッシュバックなしのプロバイダ
・月額料金が安い。
・2 年間の支払総額は高め。
・キャッシュバックの申請などの余分な手続き不要。
結局の所、
・少々手間が掛かってもトータルで安くなるキャッシュバックありのプロバイダ
・月額料金が安く、余分な手続きが不要なキャッシュバックなしのプロバイダ
どちらを選ぶかは好みの問題です。
支払い方法
たぶんすべてのプロバイダがクレジットカード払いに対応していますし、口座振替に対応している場合は明記されていますので、問題になりうるのはデビットカードです。
デビットカードの使用可否はしばしば変更されますが、私が契約した 2016 年 10 月の時点では以下のことを確認しています。
プロバイダ | デビットカード使用可否 |
---|---|
とくとく BB WiMAX2+ | 使用不可 |
RaCoupon WiMAX(楽天) | 楽天銀行 JCB デビットカード OK |
au スマートバリュー mine
au のスマホ(契約条件あり)と WiMAX ルータの両方を契約していると au の月額料金が最大 934 円引きになるというサービスです。
・au のスマホ必須なので、将来も au のスマホを使い続ける予定の場合に価値があります。
・一部のプロバイダは非対応(その分 UQ から回線を安く仕入れて月額料金を安くしてる?)。
安心サポート
故障修理サービスがグレードアップされるサービスです。
「滅多に故障しないし最初の 1 年はメーカー保証があるから不要」という声もよく聞きます。
万一故障した場合にメーカー修理の日数を許容できるのなら不加入で問題ありませんが、逆に故障時のダウンタイムを押さえたい場合は加入する価値があります。
なお、一般に安心サポートは月額 300 円のサービスですが、楽天の RaCoupon WiMAX は他社とは料金体系が異なり、安心サポート付きのクーポンが安く発売されている場合があります。
ユーザーサポート
電話サポートなど、しっかりしたユーザーサポートを求めるなら大手プロバイダが安心です。
中小のプロバイダや格安系プロバイダは人件費負担の関係上どうしてもサポートが弱くなる傾向がありますので、色々サポートに相談したい方には向きません。
メールアドレス
特別な事情がない限り不要でしょう。
昔はプロバイダのメールアドレスがないと不便なことがありましたが、最近は携帯(スマホ)のキャリアのメールアドレスによる認証や SMS 認証が一般的ですし、通常のメールには gmail を使うのが普通でしょうから、WiMAX プロバイダのメールアドレスは不要です。
ギガ放題
大抵のプロバイダでは当初の契約内容にかかわらず 1 ヶ月単位で付け外しできますので、あまり気にする必要はありません。
固定回線代わりの場合は当然のようにギガ放題になるでしょうが、モバイルの場合は使い方次第でしょうか。
クレードル
なくても問題ありません。
あれば Ethernet 接続が使えたり見栄えが良かったりするので、それなりの価値はありますが、一般にはなくても何も困りません。
端末機種
次々に新機種が出てきますので評判をチェックするにはネットで検索するのが一番ですが、2017 年 1 月現在では Speed Wi-Fi NEXT W03 が一番人気のようです。
・LTE 回線にも対応しているのでモバイル使用時に最強
・固定回線代わりに使う場合も特に不都合なし
・ハードウェアおよびファームウェアの安定性も特に問題なし
といったところが理由と思われます。
プロバイダの選び方のまとめ
・色々自分で調べたりする手間は掛けたくない。電話サポートなどを利用したい。
という方には BIGLOBE、So-net、@nifty などの大手プロバイダをお勧めします。
格安ではない代わりに「サポートも料金の内」ですので、しっかりしたサポートを期待できます。
・低料金優先。サポートはそこそこでいい。
を希望する場合は GMOとくとくBB が選択肢に入ってきます。
・月額料金を抑えたい。サポートはそこそこでいいし、付加的なサービスも最小限でいい。
という場合は楽天の Racoupon WiMAX を検討できます。
※ここに未記載のプロバイダは良くない、というわけではありません。
追記:スピード実測値
通信速度の実測値を下記の記事にまとめてみました。
